インタビュー02 NPO法人HAP 理事長/日本女性医学学会認定薬剤師 宮原富士子 さんのお話

第2回:「かかりつけ薬剤師」を見つけよう

美容院やネイルサロンを選ぶときはたくさん情報を集めて、真剣に吟味するのに、
自分の健康を支えてくれる薬局や薬剤師はなんとなく選んでいませんか?それではもったいない!
今回は女性の健康に寄り添う、頼れる「かかりつけ薬剤師」の見つけ方を紹介します。

Q1. 「かかりつけ薬剤師」って何ですか?

「かかりつけ薬剤師」とは、言うなればその人専属の薬剤師のこと。どこの病院にかかっても、その人がもらうすべての処方せんをチェックしてくれて、アドバイスをしながら薬を渡してくれ、ちょっとした疑問にも答えてくれ、病気の悪化防止や症状改善にいっしょに取組んでくれるナビゲータのような役割を果たします。病院からもらう処方薬だけでなく、市販薬、健康食品のことも把握し、同じ薬を飲みすぎていないか、薬の飲み合わせは悪くないかなどをチェック。薬をお渡しした後も、副作用が出たり、薬の効き目が悪かったりした場合は、医療機関に連絡するなど、その人に対する“チーム医療”のキーパーソンとして働きます。

かかりつけ薬剤師がいることで、薬を安心・安全に使うことができます。また、薬局によっては夜間や休日にも、かかりつけ薬剤師がお電話やメールで薬の相談に対応することもあります。高齢者など、外出が難しい方にはご自宅を訪問して、薬のチェックや説明をすることもできるのです。

Q2自分にぴったりのかかりつけ薬剤師と出会うには?

次のようなポイントに留意して選ぶとよいでしょう。

1つ目は、ご自宅の近くにいる薬剤師であること。薬剤師は「もっとも身近な医療者」。カラダについて気になること、知りたいことがあったときに、いつでも気軽に相談できるのが理想的です。災害が起こった場合のことも考慮して、探すことが大事です。
2つ目は、地元に強い薬剤師であること。病院や介護施設、健康づくりに役立つ地域イベントをご紹介するのも薬剤師の仕事です。そうした地域の情報にくわしい人だと、より幅広く、充実したアドバイスを差し上げられます。
3つ目は、その方の薬剤師としての専門性も大事ですし、できれば薬局に2人以上の薬剤師がいてくれて、直接担当者が不在のときも対応してもらえて安心ですから。
4つ目は相性です。かかりつけ薬剤師とは長い付き合いになりますから、心置きなく何でも話せる人がよいですね。

Q3. かかりつけ薬剤師になってもらうにはどうしたらいいですか?

顔見知りで、話しやすい薬剤師がいたら「かかりつけ薬剤師について相談できますか?」と声をかけてみましょう。話を聞いたからといって、すぐにその人に決める必要はありません。内容に納得して、「かかりつけ薬剤師として、自分の健康をサポートしてもらえそう」と思ったら、同意書に署名をすると手続きが完了します。

かかりつけ薬剤師を決めると、病院薬の処方を受けるときに60〜100円程度の「かかりつけ薬剤師指導料」がかかります。でも、お金がかかるのは病院で処方された薬をもらうときだけで、市販薬を買うときや健康相談は無料。せっかくのかかりつけ薬剤師ですから、気兼ねなくなんでも相談してください。お互いに協働で健康を守ってゆくことが大事です。

Q4. かかりつけ薬剤師にはどんな相談ができますか?

宮原富士子さん

女性には一生を通じて、薬剤師がお手伝いできることはたくさんあります。
まず、思春期には生理について説明して、基礎体温表のつけ方をお教えします。ときには親御さんには言いづらいこと、例えばセックスや避妊、DV(ドメスティック・バイオレンス/家庭内暴力)について相談にのることもあります。しょっちゅう鎮痛剤を買いにくる女性には声をかけて、生理痛や月経不順に悩まされていないか確認し、必要なら婦人科を紹介します。

結婚後は妊娠・出産を見守ったり、子育て中は小児科や行政の子育て支援サービスなどを紹介したり。40代を過ぎると親御さんの介護のお手伝い、50歳前後には更年期を乗り切るお手伝い。その頃には骨粗しょう症や高血圧など、生活習慣病のリスクが高くなってきますから、予防や治療についてお話しします。学校で教わらず、ネットでは調べきれないカラダのことは何でも薬剤師に聞いていただきたいのです。

私の薬局には、赤ちゃんのころから20年以上お付き合いしている女性もいます。かかりつけ薬剤師として、その方の成長とともに歩んでいけるのは、とても幸せなことです。
かかりつけ薬剤師の契約を結べば個人情報をお預かりできるので、その方の人生により深く関わり、支えることができます。ぜひかかりつけ薬剤師を積極的に活用してください。