インタビュー04 日本医療政策機構 シニアアソシエイト 今村 優子さんのお話

第2回:イギリスで見つけた女性が自立するためのヒント

助産師として8年間キャリアを積んだ後、イギリスに留学した今村優子さん。
イギリスの教育制度や社会のあり方には、日本の女性が健康で、自分らしく生きるためのヒントがあるといいます。

Q1. イギリスの女性は、自分の健康を守るためにどんな風に行動していますか?

イギリスの女性は月経やバースコントロール(妊娠・出産のタイミングや子供の数を自分で調整すること)についてきちんと学び、主体的に取り組んでいます。例えば、ピルへの理解も深く、自分はこう考えるから必要、必要ないと自分の意思で決めるんです。

出産のスタイルにもこだわりがあります。イギリスには出産場所として、病院内の産科病棟、病院内にある助産院、バースセンター(病院と同系列の院外にある助産院)、自宅の4種類があります。妊婦さんはそれぞれの特徴やリスク、自分の体調などを考えて、自分でいずれかを選ぶのです。また、イギリスでは助産師が妊娠・出産に関するエキスパートと認知されています。

その例として私が留学したのはちょうど、英国王室のキャサリン妃が第二子を出産された時期だったのですが、ロイヤルベビーを取り上げた2人の助産師が新聞などに取り上げられていて、びっくりしました。イギリスの助産師が活躍する様子を見て、日本でも助産師が社会的に認められるようにもっとがんばりたいと思いました。

Q2. イギリスの女性は健康管理に主体的に取り組んでいるとのことですが、
男性や社会からどのように映っているのでしょうか?

イギリスでは「社会は女性と男性の両方がいて成り立っている」という認識が浸透していると感じました。ですから女性が特別扱いされることはありませんが、ホルモンバランスの乱れで体調を崩すことがある、という事実は男性にも当たり前のこととして受け入れられています。例えばイギリス人の友人の家では、母親がPMS(月経前症候群)でイライラしていると父親が「She is PMSing.(彼女はPMSなんだね)」と言って気遣い、お母さんの好きなチョコレートを買ってくるそうです。

そんな社会に近づくための第一歩は、中学や高校での性教育にあると思います。日本でもイギリスでも中学・高校で性教育の授業がありますが、日本での教育は、避妊や性感染症など、性的なものから身を守るための内容が中心です。

一方、イギリスではまず、月経の仕組みについてくわしく教えた上で、PMSなどの月経に関連する症状やそれらの症状改善、月経コントールの方法、ピルの服用などについてくわしく教えます。しかも男女一緒の教室で習うので、男性も女性の身体についてきちんと学べるのです。

Q3. 大人になってからも女性が健康について学ぶにはどうしたらよいでしょうか?

私たちの調査(日本医療政策機構による「働く女性の健康増進調査2018」)では、健康に関する情報収集にはインターネットを使う女性が圧倒的多数でした。ただ、インターネットなどのメディアが発信する情報が間違っている可能性もありますから、正確な情報を選び取るのはなかなか難しいですね。

欧米の中学・高校には情報リテラシーの授業があり、「メディアの情報を鵜呑みにしない」「科学的根拠に基づいて情報の取捨選択をする」といった情報の扱い方を学ぶ機会があります。日本の女性も自らの力で情報リテラシーを身につけ、健康情報を取捨選択し、うまく活用して健康を守るための積極的なアクションにつなげていけるとよいですね。

そんな女性たちに届くように、私は全国の助産師と協力しながら、学校の授業や母親学級・両親学級などを通じて、健康に関する情報発信に取り組んでいくつもりです。